シェルブールの雨傘を観劇して。

はじめに

幸運にも大好きな推し。京本大我くん主演舞台『シェルブールの雨傘』を観劇する機会に恵まれました。

取り留めはないけれど、どうにか心が動いた瞬間を言葉として閉じ込めておきたくて、観劇から帰ってきた当日に勢いでこのブログを書いています。

このブログは大我くんの一ファンであるわたしが感じたこと、印象に残ったことを書き留めた備忘録です。

今回私は、先入観抜きのまっさらな状態で楽しみたかったので、あえて歴史背景や原作である映画は下調べせずに挑みました。解釈違いなどがあったら申し訳ありませんと最初に謝罪しておきます。

 

セリフも含めた全編が音楽で構成された物語。

https://cherbourg-2023.jp/

(『シェルブールの雨傘』公式HP)

 

数多いわけではない私の観劇体験の中でもとりわけ珍しい構成で、観る前からドキドキワクワクしていましたが、結論から申し上げますととにかく最高でした。

 

ざっくりとストーリーを説明するしておくと、戦争によって愛しあう恋人が引き裂かれ、お互いに違う相手と幸せを掴む物語。

ただハッピーエンドというよりは悲恋。切なくて、でも美しくて。

観劇後の直後の感想はただただ「心の動くいい時間だった。」というもの。

 

とにかくここでは、物語の中で印象に残った素敵なシーンとその感想を書き留めて置くことにします。舞台はナマモノなので他の方がご覧になったときとは違う見え方をした場面があるかもしれません。

 

主な配役はこちら以下の通りです。

ギイ(京本大我さん)

ジュヌビエーヴ(朝月希和さん)

マドレーヌ(井上小百合さん)

カサール(渡部豪太さん)

エムリ婦人(春野寿美礼さん)

エリーズ伯母(福間むつみさん)

 

【ギイ】

初っ端からファン丸出しでごめんなさい。

最初に触れたいのはやはり大我くんの演じるギイの好きだったところ。

まずは1幕冒頭と2幕冒頭、ギイのコンテンポラリーダンスは情感たっぷりで素敵だなぁと思わずうっとり。

歌声が大好きなのはもちろん、私はあの優雅でメリハリがある動きと華麗なターンが印象的な彼のダンスが本当に大好き。

特に2幕冒頭ではそのダンスと表情に胸がぎゅっとなりました。

 

全体を通してやっぱり好きなのが大我くんの手の表現。

ギイがジュヌヴィエーヴの頬にそっと手を添えたり、手を両手で包み込むように握ったり、マドレーヌを抱き締めたり。

色んな愛情表現があるのだけれど、にそっと優しく触れているんですよね。

宝物、大切なものを扱うときってこうだよねっていうのが良く伝わってきてすごく素敵。きっと指の先まで意識して演じているだろうなぁと。

 

ジュヌヴィエーヴと幸せな時間を過ごすギイの瞳には光が宿ってキラキラしてるんですが、軍服でのコンテンポラリーダンスや負傷して戻りひたすらに荒れるギイは瞳から光という光が消えてそこには闇しか映っていないんですよね。

毎度彼のお芝居を観るたびに思うのですが、彼は目に光を出し入れできるのでしょうか??

光を自在に操る目のお芝居、とっても好きです。

今回はラストに涙を零すシーンもあったのですが、あまりに美しくて。戦争が作り出した現実が残酷で、切なかったです。(このシーンはまた後でもう少し触れます。)

そんなラストの余韻で胸がいっぱいになっていると、さっきまで悲痛な表情で涙を流していた大我くんがキラッキラな笑顔でカーテンコールに登場。そのギャップに、もはや感情がジェットコースター。

 

【ギイとジュヌビエーヴ】

20歳のギイと17歳のジュヌビエーヴ。どこにでもいそうな若くて初な幸せそうなお似合いのカップル。(どこにでもいそうというには美しすぎますけど)お互いを想いあい、夢中になっている姿にひたすらにキュンとしました。

手を握ったり、抱き締めたり、キスしたりストレートで欧米的な愛情表現をするふたりが幸せそうで眩しくて…。特にギイがジュヌビエーヴをバックハグするところなんかはとにかく甘い!!

冒頭のふたりが甘く幸せそうであるからこそふたりの別れに胸が痛くてたまりませんでした。

 

妊娠したジュヌヴィーエヴがカサールさんの誠意を汲んで妻となることを決めたこと。若い彼女にとっては、死と隣り合わせの戦場にいる生きて戻るかも分からない恋人の帰りを、身籠った体で待ち続けることはどんなに心細く苦しかっただろうと。

ギイの兵役は2年。妊娠がわかり出産のときを迎えるまでのたったの10ヶ月でさえも彼女は待つことができなかったのか感じる一方で、自分の17歳の頃のことを思い返せば半年だって恐ろしく長かったなぁと。そもそもこの時代に未婚の母が許されたのだろうか…。たらればになってしまうけれどもし妊娠していなくて“ひとりで”ギイの帰りを待っていたのなら戻るまで耐えられていたのかもしれないなぁと思ってしまいました。

ギイが帰って来なかったとき、子どもの父親はいないわけで、ギイを待てなかったというよりは母として子どもを守り共に育ててくれる父親を得なければならなかったのかもしれないですね。

彼女の気持ちを想像すれば、私には到底責めることなんてできず…。エムリ婦人にベールかけてもらう直前にこちらに背を向けたジュヌヴィエーヴがそっと涙を拭っているように見えたときにはその誠実な人の手をとって、どうか必ず幸せになってと祈らずにはいられませんでした。

(ギイの立場になってみれば胸が張り裂けそうですが…)

 

結婚して以来初めて街に戻るジュヌビエーヴと、愛する家族と夢だったガソリンスタンドを営むギイ。新しい人生を歩み、家族という幸せをお互いに手に入れた交わることのないはずのふたり。

わたしが特に見入ってしまったのは相手に見せぬようホロリ流れた涙をそっと拭うジュヌビエーヴ。そして、大きな瞳を決壊ギリギリまで潤ませ、堪えきれずにポロポロと涙を両頬に零すギイ。

結婚をしてお互いに女の子なら、男の子ならと話していた名前を子供につけていることから、相手を愛しいと思う気持ちは消えさりなどしないのだなと。人の心はひとつの感情では表現できなくてとても複雑で一言で表すことができないですね。

 

私はあえて原作を予習せずに観劇したのですが、映画版を大好きだと話していた一緒に観劇した友人によると、ここは映画とは違ったみせ方をしているとのこと。どう感じるかは映画をみたひとりひとりの心に委ねたいので「こんなラストだったよ」と友人が話していた内容は伏せておくことにします。

私は大我くんのファンなので、どうしたって“大我くんのファン”としてのフィルターを通して、作品をみてしまいますが、舞台版はどこまでも悲恋が似合ってしまう大我くんらしい『シェルブールの雨傘』だったなぁと思わずにはいられませんでした。苦悩や葛藤、切なさやもどかしさそういった負の感情さえも、美しく昇華してしまうの京本大我という役者さんですよね…。(またもや大我くんが好き過ぎるファン丸出しの感想で申し訳ありません。)

 

【ジュヌビエーヴとエムリ婦人、カサールさん】

若すぎて愛がなんだかわかってないとギイとの結婚を反対するエムリ婦人。

でも、ギイの兵役を知り傷つく愛しい娘に2年待っていたいのならそうしたらいいとに伝えます。

ジュヌビエーヴにカサールさんのことを誠実で世の中をよく知る紳士であり如何に素敵な男性であるかについて説くけれど、カサールさんの告白を聞いたときには娘に無理強いはできないと答えるところに深い愛を感じました。

彼女の行動や発言に反対したり助言をしたりすることはしても最終的な決定権はいつもジュヌビエーヴに委ね、ただ娘の幸せを祈る姿に心打たれました。

シェルブールの雨傘はギイとジュヌビエーヴの悲恋の物語ではあるけれど、同時にジュヌビエーブとエムリ婦人の母娘の物語なのだなと感じました。

 

また、きっと17歳のジュヌビエーヴとひと回り以上は歳が離れていそうな宝石商のカサールさん。

決してお金や社会的地位を見せびらかすのではなく、あくまでもそのスマートな振る舞いやときにみせるおちゃめな会話の返しできっとこの人は誠実だと感じさせてくれました。

大したことではないけれど、「あぁこの人は本当にきちんとした紳士なのだな」と思ったのが食事に招かれたジュヌビエーヴの家でのとあるマナーの徹底ぶり。

緊張して、粗相があってもおかしくないジュヌビエーヴを妻にしたいとエムリ婦人に告白のシーン。こんなときでさえ、座るときはスーツのジャケットのボタンすべて開け、立つときにはさっとボタンを締めるアンボタンマナーが自然でスマートで所作が美しい。

社会を広く知り、常識とされることはさらっとできてしまう、大人で正真正銘の紳士なのだなと。

ずっと母娘が打ち明けられずにいたジュヌビエーヴの想い人であるギイとの子供が彼女のお腹に宿っているという秘密。それを知ってもなお、彼女の悲しみを癒やし見守りたいと揺らがぬ気持ちは誠実という言葉では語り尽くせぬ気がしてなりませんでした。

 

【ギイとエリーズ】

伯母さんが一人で大切に育てた大切な甥っ子。

彼女ができた甥っ子の幸せそうな姿に涙すエリーズを泣いているの?と抱きしめるギイ。

このシーンが素晴らしく好きでした。

ちょっとおちゃらけた様子でぎゅっと抱きしめてゆさゆさとエリーズの体を揺するギイ。20歳の成人を迎えた青年のはずなのに、エリーズに向けるおどけたその表情はどこかあどけなく見えました。

ただの伯母と甥ではなく、本当にお互いを大切に思い寄り添ってきたであろうことを短いこのシーンから感じ取ることができました。

 

『流星の音色』を拝見したとき、ヒロインの乳母であるカウムを演じられていた福朝むつ美さん。そのヒロインに向けた愛に満ちた歌声に心が震えてボロボロと涙がでたのですが、今作でもあまりにもに素敵で。

「私のかわいい坊やが帰ってきたとき私は生きているだろうか?」

このワンフレーズに心打たれて、涙腺があわゆく決壊するところでした。(泣いては物語を見届けられないのでぐっとがまんしました。)

 

【ギイとマドレーヌ】

兎にも角にも井上小百合さん演じるマドレーヌがはまり役。カサールさんがジュヌビエーヴのことを聖母マリアに例えるシーンがありましたが、私にとっては彼女こそがマリア様。

ギイとマドレーヌは幼馴染。私の解釈ではきっとマドレーヌはもともとギイに心の惹かれていたのだろうなと。直接的な表現はないのに仄かに香る恋頃みたいなものが伝わってきて、マドレーヌの優しく澄んだ声が本当に素敵でしたね。

ジュヌビエーヴとの交際で幸せそうなギイを見て、「幸せそうね」というマドレーヌ。

この時点では決してギイと2人どうにかなりたいというのではなく、幸せそうな彼の姿をみて自分も幸せを感じられる。そんな奥ゆかして優しい女性なのだろうなと。

 

戦争から足を負傷して戻った満身創痍、最愛のジュヌヴィエーヴを失ったギイ。兵役の前と後では世界が何もかも変わってしまいました。

そんな中、彼にとってきっと唯一の肉親であろう、大切な育ての親エリーズを、なにひと変わることなく支え続け「あなたが戻って嬉しい」と優しく微笑むマドレーヌが眩しく見えない理由がない。変わらないもの、揺るがないものって強くて美しいですもんね。

 

ひとりにしないで、自分を試してと頼まれたら見捨てられないマドレーヌ。

なのに自暴自棄になり荒れ、最愛の伯母の死に目にも会えない始末のギイには「“今の”あなたは嫌い」と突き放つ。

「彼のために寄り添う事はできない。あなたのことよく知らないのだから。」といいながら“今の”ということはきっと彼に傾けた気持ちはあるのだろうに…。

ここでいった「嫌い」一言はどれだけ彼をハッとさせたのだろうと大きな愛を感じずにはいられなかった。

ずっと控えめなワンピースを着ていたマドレーヌ。その衣装がギイと過ごしてどんどんカラフルになっていく様子は、まるで幸せで色付いていく彼女の人生を象徴しているようだなと。

 

ギイがマドレーヌにプロポーズする場面ではギイの心にまだジュヌヴィエーヴがいるんじゃないのかと懸念しているマドレーヌ。

気が付かない振りをしてしまえばいいのに…。本当に健気で可愛い人だなと。井上小百合さんのあの可憐な感じがギイを試すような質問に見せていないというのも個人的好きポイントの1つでした。月のように静かで優しいマドレーヌは、ギイにとっては冷え切って荒んだ心をあたたかくて包む太陽のような存在だったんだろうなと彼女の顔をみて幸せそうに微笑む姿を見て胸がぎゅっとなりました。

ギイの心からジュヌビエーヴの影が永遠に消えないとしても、マドレーヌの事はどうかずっと大切にして、守って欲しいと心から願ってしまった。

余談ですが、全体を通して決して出演時間の長くない彼女の存在感はすごいとしかいいようがないです。本当に。

 

まとめ

物語全てを通しての感想は、いい意味であっという間過ぎるし短すぎるということです。

「え?もう終わりなの?本当にそんなに経ってた?」と、体感時間と実際に過した時間にものすごい捻れが生じていることに驚愕。

シェルブールの雨傘』、全く同じキャストでいつまでも何回でも観ていたい「あぁ、いい時間を過ごしたなぁ」と手放しで思える心の動く作品でした。

素晴らしいご縁に恵まれて、観劇できたことに心から感謝します。

 

印象に残る場面ということでここまで話を進めてきたのでどうにもまとめきることができませんでしたが、ここでどうしても触れておきたいのが、場面を盛り上げ、華麗に歌い踊る皆様の存在。

特になぜだか、どうしようもなく目が奪われてしまったのが井上弥子さん。

ずぶの素人の感想なので失礼があったら大変申し訳ないのですが、表情の作り方がとても印象的で一緒に拝見した友人とも、とても印象に残ったよねと。理由はハッキリとはわからないのですが、私はとにかく好きでした。

 

ここまで物語の感想をできるだけ冷静書き留めてきたけれど(できていたかわからないけれど…)大きな声で叫んでおきたいのが

“とにかく京本大我という人の舞台が大好き!!”

ということ。

SixTONESとして、アイドルとしてパフォーマンスする大我くんが大好きですが、舞台に立つ姿をこれからも見せて欲しいと願うファンの勝手をどうかお許してください…。

(できれば円盤に閉じ込めて、どうか観たいと願うファンみんなに見せてください…。どうか何卒…。)

 

最後に、ここまでの纏まりのない文章を最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。